ネットワークに繋がらなくて原因が不明な時のソフトウェアリセット

<Win>ここに記載の方法はWindows端末について書かれています。

ネットワークに繋がらなくなりハード故障を疑いネットワーク機器を買い替えてしまうが直らなかった、またはPC本体のNIC(ネットワーク・インターフェース・カード。LAN回路と端子)に不具合があるに違いない、と思ってPC本体を購入しようとした、メーカーに電話した、修理に出したが故障個所なしで返された、という経験をお持ちの方も多いと思います。

どうしても原因不明でネットワークに繋がらないとき、OSレベルのソフトウェアリセットをお試し下さい。

通常OSの再インストールやOSのバージョンアップでしかできないと思われている、ネットワーク障害の解消に繋がるかもしれません。

診断:

●ping

自己宛pingをお試しください。

ping google.co.jp ”外部DNSとルーティングを用いたインターネットへのアクセス”

ping “他のPCから見たWebサービスのIP(ex. WHOISで調べたgoogle.co.jp のIP)”

ping “デフォルトゲートウェイのIP”(ex.192.168.11.1)

ping “自分のIP” (自己宛ping。(ex.192.168.11.3))

コマンドプロンプトで上記を実行します。自分のIPはipconfig/all 等で取得してください。ネットワークの問題に起因する場合は、4番目の自己宛pingは飛ぶものです。端末のハードウェアに起因する場合は、4番目の自己宛pingすら飛ばなくなります。

基本、自己宛pingが飛ばないのが、使用端末のソフトウェアまたはハードウェアに起因するトラブルです。(体験的には1個先のルータ/デフォゲに飛ばないのも、自端末の不具合であることが多い)

pingでの切り分けができない方は、ここを飛ばして後述のソフトウェアリセットを行ってしまってもいいでしょう。

対処:

●ネットワークコマンドを使ったソフトウェアの強制リセット(OSレベル)

netsh interface ip reset c:\delete-after-fix.log

netsh winsock reset

netsh interface tcp reset

コマンドプロンプトで上記を実行します。cmdを管理者権限で実行し(Contanaにcmdを打ってコマンドプロンプトを右クリックして、盾のマークの「管理者として実行」をクリック)、上記3つのコマンドを、1個ずつ実行します。(Sakura等に張り付けて3つ同時に流すのはNG)

コマンドを1個ずつ全部実行し終えたら終わったらマシンを再起動します。

程よく動いた場合は最初の行に記載のlogファイルを削除してください。

上記は対話型コマンドでOSのネットワークシェルを直接操作するものです。レスポンスがあるので打ちっぱなしコマンドではありません。私がやっている範囲では害が無いとはいえ、OSのネットワークを動かしている根本のところをリセットしてしまうので、あなたのマシン/サーバにどんな危害が及んでも私はあなたとあなたのマシンの安全を保障しません。ただしテキメンに効きます。ほぼ直ります。

自己宛pingが届かない、端末のLANのリンケージランプが消えてリンケージが取れていない、など明確なハードウェア兆候が見られても、結局のところ上記のネットワークコマンドによるソフトウェアリセットで済んでしまうことが大半です。ハブ、ルーター、物理線、NICを疑うケースで、100件中90件近くがこのリセットで直ります。サーバー機でデータセンターで使用している等、すごい使い方をしていない限り、通常のクライアントや個人使用のPCのNICがすっ飛ぶなど、10年に1度とか100年に1度です。(もちろん製品寿命で100年間エイジング出来ている製品は無いですが。)

どうしてもNICがすっ飛んだと思われる方は、iPhoneを使ったネットワークの間借りによるインターネット接続や、Wi-Fi環境であればドングルを買ってきて接続してみるなどの工夫もできるでしょう。挿しているポートのNICを使わないで接続を試みるわけです。これでネットワークのハードウェア起因か自端末のハードかソフトかの切り分けができます。

でも私の知る限り、NICがすっ飛んでいたという経験はありません。

上記ソフトウェアリセットで直らない場合、物理的にLAN線が繋がっていなかったりルータ障害でないのかという疑問が出ます。

よく見るとLANの差込口のランプが消えていたとか(物理的断線)、ルータの電源が落ちていたとか、停電によりルータが再起動したが再接続しなかったとか、ルータのカスケードが3以上だったとか、ルータをまたいで線をループ状につないでしまったとか、そのようなトラブルもよくあります。

しかし、結局、物理的故障を疑うあまり、自分の使用しているOSのネットワークリセットで直るのに試さない人がはるかに多く、自端末のOS層の一部のみ(ネットワークシェル)がダーティでNICが作動していなくても、ネットワーク障害と思い込む人は、プロフェッショナルにも多く見受けられます。

どうしてもWin端末がネットワークに接続できなくてお困りの方は、OSの再インストールや機器の買い替えの前にソフトウェアリセットをお試しください。

参考:

ネットワークの様子がおかしい時のコマンドとか

蛇足:

pingの読み方について、ITの専門家同士でも見解が分かれ、「ピン」と呼ぶ人と「ピング」と呼ぶ人がおり、たぶん正しくは「ピン」です。

前者の言い分は、1)じゃあ香港はホングコングって読むのか、卓球はピングポングって呼ぶのか。という英語発音的見解、さらには私の説だがレッドオクトーバーを追え!(The Hunt for Red October、Tom Clancy、1984)等で明らかなように軍事海事的には2)水上艦、潜水艦のアクティブソナーの打音をping「ピン」と呼び、それは音そのものの打音が「ピン」「ピーン」だから「ング」は要らないという説もある。ふしぎの海のナディア等の潜水艦が登場するアニメで、ソナー音を聞けば想像できるでしょう。

後者の言い分は、3)俺は業界30年だがお客さんと「ピング」で通じていて発音に疑問が無かった、4)みんなそう言っているから、5)IT業界、ネットワーク業界の標準はピング。

などがある。僕は訳知り顔で「ピング」と言った人には、どこのペンギンですか?と言って聞くことにしている。もともとインターネットは分散コンピューティング研究過程で軍用でアメリカで開発された。だから海軍用語のpingが、ネットワーククラスターの届いた範囲を確認するコマンド名として採用されたと私は仮説するが、そこまで語源を掘って、その語源の発音が「ピングじゃなくてピンです。」と説明するのは面倒なので、放置している。

まあ文章上pingにして、昔からの日本のIT屋さんが「ピング」と呼び続けているのはPIN(Personal Identification Number)と区別するためだと私は解釈している。

(以上)